梅雨や台風などの大雨が降ると、警戒が必要になってくる土石流。
そのためには、この災害がどのような自然現象なのかを理解するのも重要ですね。
その前触れや安全対策についても学びながら、土石流に対する理解を深めていきましょう。
土石流とはどのような自然現象なのか?
土石流とは、土砂が雨水・地下水と混ざって河川・渓流へ流れ出していく自然現象です。
土砂災害へ発展する原因のひとつで、別名として山津波(やまつなみ)と言うものがあります。
土石流は日本の法令において、山腹が崩れて発生した土砂または渓流の土砂が水と一体となって流下する自然現象、と定義されています。
土石流が起こる原因としては、大雨や長雨、集中豪雨などが挙げられます。雨で滑りやすくなった土砂や石が、時速20km~40kmと自動車並みの速度で一気に流れていきます。
こうした流れる土砂の中には、一軒家に匹敵するくらいの大きさの岩がまじっていたりもするので大変危険です。凄まじい勢いをもって、民家や田畑そして人を押し流してしまうのが土砂崩れです。
なお、以下の記事では土石流の原因の1つである集中豪雨について解説しているので、興味があれば一度ご覧になってみて下さいね。
※参照:集中豪雨の定義や仕組みについて。ゲリラ豪雨との違いとは?
土石流に前触れはあるのか?事前に知っておこう!
そんな恐ろしい土石流。
事前に前触れを理解して、被害を最小限にとどめましょう。
まずは前述したように、「雨」が土砂崩れのキーポイントになります。
小雨やしとしと雨でしたら問題ありませんが、警報が出るほどの大雨や集中豪雨が毎日降り続く場合はくれぐれも注意して下さい。
また、「山鳴り」と呼ばれる、山全体から何かうなるような音が聞こえてきたら土石流の前触れの可能性があります。立ち木が裂ける音も注意して下さい。これらの現象は、雨の影響で地面がゆるくなってきている証拠だからです。
これ以外では、今まで澄んでいた川の水が急に濁ったり、水の中に流木が混じりはじめるのも土石流の兆候のひとつです。2014年に広島で発生した土石流で助かった人の中には「土にアンモニアが混ざった匂いがした」と述べています。
こうした事態は、山腹から土や砂が混ざり合った水が流れ始めていることを示唆しています。
そして土石流の食前になると、次第に川の水のかさも減り始めます。
雨は降り続いているのに、川の水がなぜか少ない・・・
こんな異様な光景を目にしたら、すぐに高い所へ避難してください。
土石流に対する安全対策について。私たちにできる事は?
土石流の被害をを未然に防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?
最後に、この災害に対する安全対策についても見ていきましょう。
まず、土石流が起こったことを想定すると、山地から崩れ流れてくる土砂の量をできるだけ少なくすることが必要です。そのためには山に木を植えたり、谷川を流れている土砂をせき止める目的でダムを建設したりするのがこの災害に対する安全対策として挙げられます。
さらに、遊砂地という砂を溜めておく施設や、あるいは危険な河川を安全に設計し直す流路工をつくるのも土石流に対する安全対策として実施されています。
では、仮に土石流に遭遇したり、この災害の兆候を察知したらどうすればいいのでしょうか。
この場合は、一刻も早く高台に上がりましょう。
ほんの数秒の違いで、流れてくる土砂や大木に巻き込まれるか否かが異なる場合があります。
2014年に広島県で発生した土石流では、ほんの数メートルの差で生死が決まるという事態も発生しており、一刻も早い行動が安全対策に繋がることが分かります。
この記事のまとめ
この記事では「土石流とはどのような自然現象なのか」をテーマにして、その前触れや安全対策についてもご紹介しました。
土石流とは、雨水などに土砂が混ざって河川へ流れ出していく自然現象です。大雨や山鳴り、川の水の濁りは土石流の前触れとしてしばしば挙げられるので注意が必要です。
また、土石流に巻き込まれたら一秒でも早く高い所へ移動するのが重要です。
梅雨や夏の異常気象などの影響で、大きな災害はいつ自分の身に降りかかるかわかりません。
しっかり前触れや安全対策を知っておくことで、何があってもすぐに動けるようにしたいですね。