ムクゲは韓国の国花で、国章にも意匠化されており、ホテルの格付けの星の代わりにもされている花ですが、非常に簡単に育つため世界的に植えられています。
日本でも街路樹や公園などでよく見かけますよね。
今回はそんなムクゲについて、その開花時期や名前の由来、原産地などをご紹介します。
ムクゲとはどのような花なのか。
ムクゲはアオイ科フヨウ属に分類される植物で、ハイビスカスやフヨウの仲間です。
夏の炎天下でも花を咲かせる一方、冬の寒さにも耐える花木という特徴から、北海道南部から沖縄までほぼ日本全国で栽培できる育てやすい植物なので、古くから栽培され、今までに数多くの園芸品種が生まれています。
その花は、以下のように細かく分類されています。
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・一重咲きグループ:
花びらの形により細弁、中弁、広弁タイプに分類
・半八重咲きグループ:
内側の花びらの数により祇園守、花笠、バラ咲きタイプに分類
・八重咲きグループ:
外側と内側の花びらの付き方や重なり方により乱れ咲き、菊咲き、鞠咲きタイプに分類
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ムクゲの樹皮を乾燥したものは抗菌作用があり、木檎皮やチンピという生薬として利用されています。また、花を乾燥させたものは木檎花、チンファという生薬として皮膚炎、胃腸炎、下痢止め等に用いられています。
ムクゲの開花時期はいつ?
ムクゲは夏から秋にかけて美しい花をつけます。
その開花時期は6、7月~10月です。かなり長い間楽しむことが出来る植物と言えますね。
植え付けおよび剪定の時期は11月〜3月頃に当たりますね。
花の大きさは6~10㎝くらいの5弁花で、色は白、赤、紫、ピンクなどがあります。
朝咲くとその日の夕方にはしぼんでしまう一日花と言われていますが、実際は朝開花し、夕方にしぼむが、また翌日開くというものもありますし、開花してそのまま2、3日咲き続けるもの、2週間咲き続けるものもあるようです。
いずれにしても、長期間花を咲かせて楽しませてくれます。
葉は卵型で、互い違いに生え(互生し)ており、葉の縁は荒いギザギザ(鋸歯)があります。
ムクゲの根は横に広がらないため比較的狭い場所でも植えることが出来、刈込にも強いため、庭や公園の垣根、街路樹などにも利用されています。
「ムクゲ」という名前の由来とは?
ムクゲは学名を「Hibiscus syriacus」(ハイビスカス・シラカス)と言います。
その名の通り、ハイビスカスによく似た花を咲かせます。
では、この「ムクゲ」という名前の由来は一体何なのでしょうか。
諸説ありますが、まずムクゲ(木槿)という和名の由来は、
・中国名の「木槿」(モッキン)がなまった
・韓国名の「無窮花」(ムグンファ)が変化した
このような説があります。
このうち韓国名の「無窮花」(ムグンファ)の由来は、花が次々に咲き、その花期が長いことを表しているそうです。
また、ムクゲの別名である「ハチス」「キハチス」にも由来があります。
それは花の咲き方が、ハスに似ているからというものです。
そもそもハスは、蜂の巣のような果実をつけることから、もともとは「ハチス」と呼ばれていたのですが、時代が進むにつれ「ハス」という名前に変わったという経緯があります。
またハスは水上植物ですが、ムクゲは木なのでキハチスと呼ばれたのだそうです。
ムクゲの原産地は韓国ではなかった!?
ムクゲは韓国の国花ですが、その原産地は中国なのです。
また、この花はシリアやインドなど東南アジアまで自生しているだけでなく、現在では、カイロやダマスカス、テルアビブといった中近東の主要都市でも庭木や公園の樹木として栽培されているようです。
日本への渡来は古く、奈良時代に中国から朝鮮半島経由で渡来したと言われており、和歌山県や山口県に野生のムクゲがあったとされています。
韓国はムクゲの原産地ではないにしても、古くからムクゲを国花として扱ってきました。。
9世紀末の新羅の時代には、自らの国を「槿花郷」(=ムクゲの国)と呼んでいた記載も見られます。
その一方で、韓国領事館や大使館にはムクゲは栽培されていません。
なんだか不思議な感じがしますね。
この記事のまとめ
ムクゲの開花時期や名前の由来、原産地についてご紹介しました。
この花は韓国の国花というイメージがあったので朝鮮半島にルーツがある花だと思っていたのですが…どうやらアジア全般にわたって咲いている花のようですね。
夏から秋まで、長期間楽しませてくれるムクゲ。
とても身近にある植物ですし、これからの時期、この可愛らしい花を楽しみながら夏を過ごしたいですね(^^)