梅雨や台風の豪腕などで地表が水に浸かってしまう現象は、毎年のように発生していますね。
ところで、この現象について様々な用語が使われていることをご存知でしょうか?
浸水、洪水、冠水、水没などです。
同じことを意味するなら統一してしまえば良いとも思うのですが、これらの言葉には違いがあるのでしょうか?
この記事では、冠水を軸に、他の類義語との違いを紹介します。
冠水ってどういう意味?
そもそも冠水とは、どのような意味を表す言葉なのでしょうか。
冠水とは、津波や洪水、豪雨などの影響で家や田端が水に浸かってしまう状態を意味する言葉です。主に新聞や書籍など文章中で用いられることが多く、話し言葉としては使われません。
「かんすい」という音の言葉には「完遂」などがあるため混同しやすいんです。
なお、海や池など、普段から水に浸かっている場所は冠水とは呼ばず、あくまで普段は水のない場所が水に浸かってしまうことを表しています。
冠水と浸水の違いとは?
この「冠水」という言葉ですが、浸水や洪水、水没など似たような言葉がいくつかあって、紛らわしく感じる事もあると思います。
これらの言葉の違いは、一体何なのでしょうか?
まずは冠水と浸水の違いを見ていきましょう。
浸水も冠水と同様に水に浸かってしまう現象を指します。テレビやラジオでも使われることが多い一方で、浸水は冠水とは異なり、話し言葉としても活用されていますね。その一方で、冠水が浸水に比べてあまり耳慣れないのは、そもそも口頭ではあまり使われないからの様です。
また、浸水は水に浸かった状態だけではなく、「家が浸水する」のように「ある場所にこれから水が入ってくる」状態や「今まさに水が入り込んできている」状態も指すことがあります。
冠水と洪水の違いとは?
では、冠水と洪水の違いは何なのでしょうか。
洪水も冠水や浸水と同じように、ある場所が水で埋まってしまうことを指しますが、特に洪水は自然災害になるほど規模が大きいことを意味します。
冠水は「冠水する」など文章で表現する場合がありますが、洪水はそれ単体で用いることができる言葉であるのも特徴ですね。洪水が表す現象としては、堤防などの建物を崩壊させたり、土砂崩れを起こすなど「人や物に対して被害を与える冠水」を呼ぶことが多いです。
冠水と水没の違いとは?
最後に、冠水と水没の違いについても見ていきましょう。
水没は「今水に埋まろうとしている」というよりも、「既に水へ埋まってしまった後」の状態を指します。そして場所というよりも特定の物に対していうことが多いです。
物体の大きさや水の量は関係なく、ある物体が水の中に沈んでしまえば水没です。「トイレやお風呂に携帯を水没させてしまう」話や、「ダム建設でA村が水没した」というニュースは水没でよく聞かれる例ですね。
これから起こる行為、今進行中の行為を意味する冠水に比べ、水没は「すでに起こった事」を表しています。この2つの違いは少々独特なので注意したいところです。水没の場合は「水没するかもしれない」など、後に続く文章で未来や進行中を表現しなければいけません。
この記事のまとめ
冠水の意味と、浸水や洪水、水没との違いについてご紹介しました。
それぞれの意味と違いを、もう一度振り返ってみましょう。
・冠水:家や田畑が水に浸かる状態、文章中で用いられる事が多い
・浸水:冠水の意味に加え、話し言葉でも利用される
・洪水:冠水の規模が大きくなった状態
・水没:既に水に埋まってしまった後を表す状態
きちんと確認してみると、その違いが良くわかりますね。
今後、これらの言葉を使う機会があれば、その使い分けには注意したいですね。
【冠】という字の意味を考えると
「冠雪」は理解しやすいですが
「冠水」は違和感を覚えます。