夏休みの宿題といえば、定番なのが読書感想文。
その題材として扱う本としては、歴史人物を題材にした歴史小説はいかがでしょうか?
教科書で習う歴史は、どうしても年号や事実の羅列を追うのに精いっぱいで、味気無いものになりがちですが、歴史小説であれば、登場人物たちが生き生きと描かれていて、きっと共感したり驚いたり楽しんだりできると思いますよ。
今回は、読書感想文の題材としておすすめの歴史小説を5冊紹介します。
Contents
おすすめの歴史小説その1『真田太平記』
著者:池波正太郎
2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』でも脚光を浴びている真田信繁(幸村)ですが、今から31年前にも、真田家を題材にしたドラマが放送されていた時期がありました。
それがこの「真田太平記」です。
『真田丸』の主人公が信繁であるのに対し、『真田太平記』の主人公は兄の信之。忍びの力を借りながら、関ケ原の戦い、大坂の陣を経て江戸時代まで真田家を存続させようと智略をめぐらせる様子が、生き生きと描かれています。
新潮文庫版で全12巻というかなりの大作ですが、テンポのよい会話とわかりやすい語り口でどんどん読み進めることができます。
※参照:読書感想文の題材には戦国武将がおすすめ!本を10冊紹介!
おすすめの歴史小説その2『国盗り物語』
著者:司馬遼太郎
織田信長と明智光秀、信長の義理の父・斎藤道三の物語です。
前半は斎藤道三が油売りから身を起こし、浪人から美濃国の国主となるまでを描き、その過程はタイトル通り「国盗り」と言えるでしょう。後半は、道三の娘・濃姫の婿となった織田信長とその家臣・明智光秀の様子が描かれます。
個人的には、前半の道三が美濃を取るまでの話が痛快だと思います。後半の記述は明智光秀ファンにはうれしく、信長ファンには少し不満が残るかも。
司馬遼太郎の作品の中でも読みやすく、人気の一冊です。
おすすめの歴史小説その3『この世をば』
著者:永井路子
平安時代、摂関政治で貴族の頂点に立った藤原道長を主人公にした作品。
タイトルはもちろん、有名な和歌「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思へば」から取っています。
和歌から察すると「ごう慢なオヤジだなー」という印象を与えますが、永井路子が描いた道長は、“平凡な四男坊がタナボタ式に権力の座を手に入れたラッキーボーイ”と言ったキャラクターになり、教科書とは少しイメージが変わるかも。
その後、思慮深さを発揮しながら成長していきますが、権力の重圧に耐えながらなんとかやりくりしている様子に共感を覚えるでしょう。妻や姉、娘など道長を取り囲むキャラも個性的です。
※参照:読書感想文にあらすじは必要?引用の書き方や注意点を解説!
おすすめの歴史小説その4『天地明察』
著者:冲方丁
主人公は安井算哲、またの名を渋川春海。江戸時代の天文暦学者です。
日本史の教科書には、元禄文化のところで出てくる人物です。算哲は四代将軍こと徳川家綱の時代、誤差が生じていた暦を正して、貞享暦という新しい暦を作りました。将軍家に囲碁を指南する家柄に生まれた算哲が算術や天文学に魅せられ、貞享暦が完成させるまでの物語です。
2012年にV6の岡田准一さん主演で映画化されたのを、覚えている人もいるでしょう。
家綱の補佐役・保科正之や算哲が憧れる和算学者・関孝和、朱子学者の山崎闇斎など、教科書に名前がつらつらと出てくるだけの人々もたくさん登場しますよ。
おすすめの歴史小説その5『蒼き狼』
著者:井上靖
最後に世界史をテーマにした歴史小説をご紹介します。
ヨーロッパから中国北部に至るまで、広大なモンゴル帝国を築いたチンギス・ハン。1274年に日本に攻めて来た「元」の皇帝フビライはその孫に当たります。
この作品は、モンゴルの一部族長の子として生まれたチンギス・ハンの生涯がテーマです。モンゴル高原の諸部族を統一し領土を広げていくダイナミックな様子とともに、出生の秘密に悩み続けるチンギスの繊細な心の中も描かれています。
この記事のまとめ
読書感想文の題材としておすすめしたい歴史小説を5冊ご紹介しました。
歴史小説はあくまでフィクションなので、すべてが事実というわけではありません。
しかし、作家のフィルターを通してではありますが、描かれる人物に共感し、その時代をグッと身近なものに感じることができます。作品をきっかけに登場人物=歴史上の人物に興味を持つこともあるでしょう。
今回、ご紹介した5冊はいずれも評価が高いものばかり。すぐれた歴史小説の特長は長い期間にわたって読み継がれ、感動を与え続けているところにあります。また、一度読んだら終わりではなく、中学生や高校生で一度読んだのち、大人になってからもまた読みたくなるのも歴史小説の魅力だと思います。
この夏、どうか大切な1冊に出会えますように…。