3月が近づくと決まって耳にするこの歌。
♪お内裏さ~まとお雛様~♪
日本人なら誰もが知っている曲ですよね!
あの曲をきいていると、
男のお人形をお内裏様、
女のお人形をお雛様というのかな?
このように思ってしまいます。
でも正式には違うんです!
あの曲が原因で、間違った認識が
広がったと言われています。
本当は何て言うのでしょう?
それから、お人形の服装や
頭の飾りも何かわかりますか?
正しく知らない人が多いこの問題、
人に教えることができたらカッコイイですね!
そこで今回は、お雛様の正式名称と
服装、頭の飾りの名前について
お話したいと思います。
お雛様の正式名称について
まず、「お内裏様」の「内裏」とは天皇のお住まい、私的区域のことです。
雛人形は、その内裏の中で行われた
天皇と皇后の結婚の儀がベースになっています。
なので、「お内裏様」と言うと、
お殿様とお姫様の両方を指すことになります。
おかしいですね!?
これでは、さきほどの曲の歌詞では
男女一対の人形を指しているはずが、
実は違うということになってしまいます。
では、正しくはなんと言うのでしょう。
これはその土地や風習によっても違う場合がありますが、
いちばんわかり易いのは
男雛と女雛。
または、お殿様とお姫様。
そしてさらに正式に言うと、
男雛は親王、女雛は内親王と呼びます。
親王、内親王は現代でも使われていることばですね。
どちらも、奈良時代からある皇族の呼び方です。
ちなみに私は、
この記事を書くまで男雛を「お内裏様」、
女雛を「お雛様」と言うのだと思っていました。
こうしたお雛様についての誤用は、
童謡「うれしいひなまつり」の
歌詞から広まったとされていています。
この歌の作詞家であるサトウハチローさんは
この誤りを気にして、晩年までこの曲に
いい印象を抱いていなかったそうです。
プロだからこそ、ちょっとした間違いが
世間に広まるのが耐えられなかったのでしょうか。
お雛様の服装について
次にお雛様の服装についてです。二人とも何を着ているのでしょう?
まず、男雛の着ているものは、
束帯(そくたい)といいます。
束帯は宮廷の男子の正装です。
中国の唐の時代の着ものが日本に伝来し、
日本で発達したものとされています。
そして、女雛の着ているものは、
裳唐衣(もからぎぬ)あるいは
唐衣裳(からぎぬも)といいます。
よく言う「十二単(じゅうにひとえ)」は、これの俗称です。
何枚も重ね着されており、
唐衣(からぎぬ)
裳(も)
表衣(うわぎ)
打衣(うちぎぬ)
袿(うちき)
単衣(ひとえぎぬ)
袴(はかま)
こうしたもので構成されています。
たくさん着なければならないので大変ですね…
ちなみにお雛様の服装に
どれだけこだわるかによって、
雛人形のお値段は変わってきます。
もしこれから雛人形を購入されるのでしたら、
お雛様の服装にどれだけこだわるのかも
事前に考えた方がいいかもしれませんね。
お雛様の頭の飾りの名前について
では、二人のお雛様が身に着けている頭の飾りの名前は
一体なんというのでしょう?
まず男雛のものは、冠(かんむり)です。
烏帽子(えぼし)と混同されることが
比較的多いようですが、違います。
烏帽子は普段の髪飾りであるのに対し、
こちらの冠は公式な髪飾りです。
そして女雛のものは、釵子(さいし)
または平額(ひらびたい)といいます。
業界用語では「玉櫛(たまぐし)」とも呼ばれます。
なお、この「釵」という漢字は
訓読みすると「かんざし」と読みます。
女雛のものはかんむりとは呼びません。
ちゃんと名前があるのです。
まとめ
お雛様の正式名称は男雛と女雛、お殿様とお姫様、
親王および内親王といったものがあります。
また、お雛様の服装ですが、
男雛は束帯を、女雛は裳唐衣または
唐衣裳といったものを身にまとっています。
そして、男雛は冠を、
女雛は釵子または平額といったものを
頭の飾りとして身につけています。
さあこれであなたも、
お雛様について堂々と人に教えられますね!