女の子の幸せや健康を祈る雛祭りが
三月三日に行われます。
雛人形の1番上の台に飾られるお内裏様。
1番上に飾るだけあって、
真っ先に目がとまる方も多いでしょうね。
ところであなたは、お内裏様の頭の飾りや
その服装、持っているものの名前について
どの程度ご存知でしょうか?
この記事では、お内裏様の
身にまとうものについて調べてみました。
Contents
お内裏様の頭の飾りについて
まずは、お内裏様の頭に飾られているものについて詳しく見ていきましょう。以下では、お内裏様の冠やその他の装飾品に関する専門用語を解説し、それらが持つ歴史的・文化的意味合いについて分かりやすく説明します。
冠
お内裏様が頭に飾る「冠」は、日本の伝統的な皇族や貴族が重要な式典や行事に参加する際に着用する正式な帽子です。この冠は、単に頭を飾るアクセサリーではなく、着用者の身分やその場の格式を示す重要な役割を持っています。
一般的に、日常生活で使用される烏帽子(えぼし)と混同されがちですが、烏帽子はよりカジュアルな場で用いられる帽子であり、特別な式典で用いる冠とは異なります。
※参照:お雛様の正式名称や服装について解説。頭の飾りの名前は?
纓(えい)
お内裏様の冠の後ろに垂れ下がる薄い羽根状の飾りを「纓(えい)」と呼びます。この装飾品は、その着用者の社会的地位や権力を象徴しています。
特に、天皇が着用する「立纓(りゅうえい)」は、直立していることからその名が付けられており、天皇の独特な権威を表しています。
他の皇族や随身(身分の低い従者)が使用する纓には、形状や名前が異なり、それぞれ「垂纓(すいえい)」や「巻纓(けんえい)」と呼ばれています。
纓にも様々な種類がある事がわかりますね。
巾子(こじ)と笄(こうがい)
お内裏様の髪型にも特別な配慮がされており、髪を上にまとめ立たせた「ちょんまげ」を、冠の上部にある「巾子(こじ)」に納めます。この「巾子」は、ちょんまげを冠にしっかりと固定させるための装置で、冠と髪型の一体感を保つ役割を果たします。
さらに、この構造を安定させるために使用される「笄(こうがい)」は、簪(かんざし)のような形状をしており、冠の左右に突き出ている横棒のことを指します。
これにより、冠と髪型がしっかりと固定され、重要な行事中における着用者の威厳を保つことができます。
お内裏様の服装について
お内裏様は「束帯衣装」と呼ばれる皇族や高貴な身分の方がお召しになる服装をしています。
実際には、何着も重ね着をしているのですが、
縫腋袍と呼ばれる丸襟と唐風が特徴の装束を
1番上に着ていて、縫腋袍の下に下襲から続いた
裾という後身を長く引くものを着用しています。
そして、石帯という革で作った
帯びを腰にまとえば上半身は完成です。
また、下は袴を着用しているのですが、
この衣装は重ねばきをしており、
その表側を、そのまま表袴と言ったりします。
身分や年齢によって
袴の生地が決められていましたが、
色は全て白だったと言われています。
この袴を見れば、生地を見るだけで
身分や年齢を知る事が出来たわけですね。
お内裏様の持っているもの
お内裏様が手に持っているものとしては笏(しゃく)、飾剣(かざりたち)、平緒(ひらお)などの持ち物や装身具が挙げられます。それぞれの役割や歴史について、詳しく解説します。
笏(しゃく)
笏(しゃく)は、一見ただの棒状に見えますが、古代中国から伝来した重要な儀礼用具です。長さ約60cm、幅約3cmの板状で、材質は木や竹、象牙など様々です。
笏は、儀式の進行補助の役割を持っています。これは演説や詔勅を読む際に、文章を指し示したり、声の調子を調整するために使用するものです。
裏面には儀式に必要なメモを記していたと言われています。
また、笏には権威の象徴という意味合いがあります。
天皇や貴族が儀式に臨む際に携えることで、権威と地位を表します。
飾剣(かざりたち)
儀式用に身につけるもので、刀身に刃をつけていない剣のことを「飾剣(かざりたち)」と言います。刀身は木製で、金箔や蒔絵で装飾されています。
実際の戦闘には使用されないものの、武勇の象徴や魔除けの力を持つと考えられていました。
また、束帯などの正装には飾剣は不可欠なものであり、正装の一部という意味合いもありました。
平緒(ひらお)
お内裏様は飾剣を腰に据える為、「平緒(ひらお)」と呼ばれる細い帯のようなものを垂らしています。飾剣を固定する他、衣装全体の装飾という働きもありました。
まとめ
お内裏様の頭の飾りとしては
冠や纓、巾子や笄などが、
持っているものとしては笏や飾剣、平緒があります。
また、服装は「束帯衣装」という
高貴な身分の方の衣装を身にまとっています。
このようにお内裏様一体に対しても
様々な名前の付いたお召し物や持ち物があり、
とても興味深いです。
三月になると何気なく目にする事も
多くなる雛人形ですが、
知らなかった知識を得ることにより、
今までと見方も変わり、
新たな発見へと繋がる可能性もあるでしょう。
雛人形を目にした際は
一体を注意深く観察してみるのも
趣きがあって面白いですね。
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