夏場、特に猛暑になると「炎天下」という言葉がニュースなどで聞かれるようになりますね。
文字から「炎のように暑い日」なのかなと推測することはできますが、具体的にどのような環境のことを指していうのでしょうか。
今回は炎天下という言葉の意味や正しい使い方、その反対語などをご紹介します。
「炎天下」の意味や正しい使い方について
炎天下とは「炎天」の空の下という意味です。
では「炎天」とは何かと言うと、
太陽の光が強く照りつけ、炎のように暑い日の空
といった意味があります。
空の下ですから地上を含んでいるわけです。
ニュースなどでは「炎天下の中」「炎天下の下」という表現がでることもありますが、これは「頭痛が痛い」のように”重複した表現”ということになるので誤りなのです。
あえて「~の中」という表現を使うなら「炎天の中」という言葉が正しいのです。
つい間違って使いそうになりがちなので、くれぐれもご注意を。
なお、この「炎天下」という言葉の意味ははっきりとは定まりません。
後述する「氷点下」という言葉の場合、0度より下という具体的な設定がありますが、炎天下は温度が何度であれ、太陽が暑いと感じた人だけが使えるわけです。
人によって炎天下の日とそうでない日が変わる。
これまた「炎天下」という言葉が持つ特性と言えるでしょう。
※参照:炎天下で車を故障させない対策とは。駐車時に窓はどうする?
「炎天下」という言葉に反対語はあるの?
では、炎天下の反対語は何という言葉になるのでしょうか。
意味から考えれば「太陽が熱く照りつけない地上」ということになります。ただ、それでは普通の地上になるので、強いて言えば「快適な過ごしやすい地上」ということになるでしょうか。
実は炎天下の反対語に該当する言葉はありません。
上でも述べたように、太陽が熱すぎない環境というのは普通の環境とも言えるからです。
あるいは、炎天「下」に対して炎天「上」という言葉、つまり炎天そのものが炎天下の逆という見方もできそうですね。
また、太陽が照りつけていることが炎天下の前提ですから、曇天の日はいくら暑くても炎天下にはなりません。その事から曇天で高温の日は反対語だということもできます。
炎天下の反対語は「氷点下」なの? 両者の関係は?
一方で、炎天下と似たような言葉に「氷点下」があります。高温炎の下に対して低温の氷の下という意味ですから、パッと見反対語に見えなくもありません。
実は氷点下が炎天下の反対語なのでしょうか?
いいえ、これも違います。
氷点下はそもそも「氷点より下の温度」という意味で、氷点とは「水が氷になる気温」、つまり0度のことを指しています。すなわち、氷点下はマイナスの温度全般を指しているのです。
ですから氷点下の反対はプラスの温度ということになりますね。
こちらの言葉も”普通の環境“が反対の意味と言えます。
結果として高温になりがちな炎天下も氷点下の反対語と言えなくはないですが、あくまで結果にすぎず、言葉の意味としては全く異なるものなのです。
炎天下と氷点下の間には、特に関係はないと言えそうですね。
この記事のまとめ
「炎天下」という言葉の意味やその正しい使い方、反対語の有無について解説してきました。
言葉の意味はなかなか深いもので、何を基準にして反対を求めるかでも随分変わってきますね。
炎天下の例で言えば炎天の上は宇宙空間が存在すると言えるので、炎天を基準にしてその上下という反対を見ることもできてしまうんです。
また、炎天下にしろ氷点下にしろ、その範囲が曖昧で広いことも反対語が定まらない理由ではないでしょうか。氷点下の反対は1度でも気温があることです。通常の気温はもちろん炎天下よりも更に高い気温も含みますし、そもそも気温に限りません。水温や私たちの体温など、あらゆる温度が対象になるからです。
このような言葉は、反対語が何なのかにこだわるよりも、間違った使い方をしない点に気を付ければそれでいいのかなと思っています。